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からっぽな日常に色をつける

1789 バスティーユの恋人たち

東宝版の1789見てきました!

様々なフランス革命を扱った作品がある中で、国民目線の一番史実に近いような雰囲気のある作品であると思います。またヨーロッパのミュージカルらしく、舞台の前にCDが発売され、その作られた曲に合わせ舞台が作られていくため、目紛しく場が展開していくところが今までのミュージカルとは少し毛色が違うと思いました。実は「1789- Les Amants de la Bastille -」のDVDをうっかり買ってみてしまってから、宝塚月組版を見て月組版のDVDをうっかり購入してしまうくらいにははまってしまった1789ですが、帝劇で上演されると聞いて悲鳴をあげるほど嬉しかったです。

 

○あらすじ

主人公ロナンは農民の息子。重税が平民に重くのしかかる中、干ばつ等で税金の支払いが滞りそれによって「国王の名の下」においてロナンの父親はペイロール伯爵に射殺されてしまう。父を殺され、土地もなくなったロナンは妹のソレーヌに「パリへ向かい、父の仇を討つ」と告げ出て行ってしまう。一人残されたソレーヌもパリへと向かうことに。そしてパリでロナンはロベスピエールやデムーランといった革命家達と親しくなり、印刷工として働き出した。

他方王宮では、王妃マリーアントワネットが退屈な日々を紛らわすためにギャンブルに明け暮れ、国王ルイ16世は錠前作りに夢中。国王の弟アルトワ伯はマリーアントワネットとフェルゼン伯爵の関係に薄々気がついており、自身の部下のラマール達に王妃の身辺を探らせ、スキャンダルを利用し自身が国王になることを画策している。

ある日ロナンはパレロワイヤルという革命家達や娼婦の溜まり場で酔いつぶれて寝ていた。そこで、フェルゼンと王妃の密会を目撃してしまい、さらにラマール達まで現れて騒然としたが、王太子の養育係のオランプ(王妃の密会の手引きを行った)が王妃のスキャンダルを隠蔽するため、ロナンを暴漢に仕立て上げ、ロナンはバスティーユの監獄へ投獄されてしまう。

無実の罪で監獄されたロナンは、バスティーユでペイロール伯爵と出会う。印刷所で刷った革命思想の新聞を見られ、激しい拷問を受け「印刷所を教えれば、見逃してやろう」と言われる中「仲間を見捨てられない」と拒むロナンにペイロール伯爵は「お前の仲間は貴族達ほど金持ちではないプチブルジョアで、貴族たちを羨んでいる。お前達平民の気持ちなんかわかっていない」と唆される。オランプはバスティーユの火薬庫の番をしている父親に協力を仰ぎ、無実の罪を着せてしまったロナンの救出へ向かう。バスティーユからの脱獄中に、ロナンとオランプの間には少しずつ恋が芽生えていく……

王太子の死で「すべきこと」に気づいたマリーアントワネット、革命のために立ち上がる市民たち、王位のために暗躍するアルトワ伯、それぞれの思惑の中、人々は熱狂の中バスティーユの火薬庫を目指していく……

 

○感想

今回主要キャストが全てWキャストというどの組み合わせでみようか迷うやつだったのですが、まずロナンが小池徹平/加藤和樹、オランプは神田沙也加/夢咲ねね、マリーアントワネットは花總まり/凰稀かなめというキャスティング。え、これ全通り見なきゃだめなやつだよね?っていう気持ちを抑え、ロナン:加藤和樹/オランプ:夢咲ねね/マリーアントワネット:凰稀かなめで観ました。結果は大正解でした。これどの組で見ても大正解だとは思うんですけど、持ち味的に小池神田花總、加藤夢咲凰稀で分かれてる気がします。

加藤ロナンは体格の良さや全力な演技も相まってかなり熱血に見えます。が、声とか大人っぽさとかが余裕な感じや冷静なところがあるように見えて加藤和樹という人が真面目に役に取り組めば取り組むほど、ロナンの手のひら返しの多い行き当たりばったりな感じの行動に疑問が出てきてしまう。(けどフランス人だからそんな感じなのかな?)

若干ついったーとかで小池ロナンの方が少年漫画テイストと見ていましたが、加藤ロナンもかなり少年漫画だったようなきがするんですけど、それよりも夢咲オランプとの恋愛シーンが大勝訴。ヒロイン力の高い夢咲プロと体格と顔のカッコイイ加藤和樹の恋愛シーンが見られるのは1789だけ!!!!!

夢咲オランプは、ラマールたちがオランプちゃ〜〜〜〜ん♡ってなる気持ちよくわかります。聡明で機転がきくのに、初めて出会うタイプのロナンに恋に落ちてしまい、気もそぞろになってしまった可愛い女の子。その役を説得力を持って演じられるのは沙也加ちゃんとねねちゃんしかいないのでは??と思うくらいに絶妙なキャスティングだったと思います。見所はアルトワ伯に媚薬を飲まされそうになるシーンです。

凰稀マリーは本当に女優デビューなのかな???ってくらい馴染んでました。かなめさんは元々男役をやるには声質が高めで結果的にへろへろになってしまっていたので、声的には男役のときより無理のない感じでとても良かったです。あとビジュアルが最強のかなめさんが豪華さの極みのマリーアントワネットってすごいよね。Wキャストの花總マリーが少女のような無邪気さのまま自分のしたいことを選び取っていくマリーアントワネットなら、凰稀マリーはすべきことから目を背けて(意図的に見ないようにして)火遊びを楽しんでいたところに、使命を見つけてしまったマリーアントワネットで、目を背けていた分「神の裁き」の重さがその身を削いで削いで削ぎ落とされすぎて、その身一つで立っている状態。圧巻の美しさでした。(特に最後のシーン)

革命家3人(ロベスピエール:古川雄大/デムーラン:渡辺大輔/ダントン:上原理生)はバランスが非常に良く、その後の独裁者の影の見え隠れする冷たい美しさを持つロベスピエールと柔らかく暖かいお坊ちゃん感のあるデムーランと熱さと若干の女好き感の出ているダントンのトリオ最高です。以前から気になっていた上原さんを生でみてその声量の凄さに圧倒されて帰って来ました。上原さんのシーンだけもう一度みたい。嘘、ロベスピエールの三部会のマリオネットのシーンも見たい。

そもそも、どのシーンというよりは全てをもう一回見たい気持ちにさせてくれる舞台だったので、GWに当日券チャレンジを試みたい気持ちでいっぱいです。